『お花が無料の時代、やって来るかも』(Free)

2018年10月 6日

◎時代で変わる印刷業

新聞をつくる仕事をずっとしています。ネットの時代なのに、主に紙に印刷した情報を提供しています。見方によれば、時代遅れの仕事でもあります。
確かに、街の印刷屋さんがどんどん減っています。その一方、ネットで大量の印刷注文を取って、低コストで印刷物を提供され、急成長されている会社もあります。

◎印刷関連の花屋さん

先日、取材に訪れたのは、お花屋さんでした。ちょっと待って！今まで印刷の話題だったのに急にお花屋さん？と思われたでしょう。そう、この花屋さん、印刷とすごく関係がありました。
ビジネス街にある花屋さんです。OLさんが花束を買いに来られるような普通のフラワーショップ。どこが印刷と関係あるねんと思ってします。でも、そのカーネーションをじっと見てください！

◎お花で情報発信を

そう、カーネーションの花びらを観察すると、見えて来ました。「おかあさんありがとう」と印刷されていました。こちらの花屋さん、世界でも珍しい花びらへの印刷を得意とするお店でした。お花を情報発信のツールにされていたのです。
「５年前に、バラの花びらに文字を印刷してあるのを見たのがきっかけです。そこから花びらへの印刷に興味を持つようになりました」とオーナーさん。独学で花びらへの印刷の手法を考え始めました。

◎花びら印刷に活用

情報を集めるため印刷会社などを訪問、東京にまで行かれました。「特殊印刷技術の自慢話をたくさん聞かされました。それはそれで楽しかった」と。
そんな探索活動の中で、樹脂や木材、凹凸ある表面にインクジェットで出来る印刷機を発見。花びらへの印刷に転用することを思いつかれます。

◎メッセージカーネーション

花びらを固定する治具を開発して、インクジェットで花びらに印刷できる手法を開発。対象の花はカーネーションをメインにされています。
また、バラの花びらにも応用でき、日本語、英文字など10-12文字、イラストも印字出来ます。大阪市内に加工所を設置され、「メッセージカーネーション」のブランドで、今年から本格販売を始められました。

◎1カ月で2000本販売

値段は通常のカーネーションに比べて2倍から2.5倍で売れるそうです。今年5月の母の日には、自社の店舗、町の花屋さんに提供されました。
なんと1カ月で合計約2000本を販売、話題を集められました。このほか、仏花や卒業式の記念品にもメッセージカーネーションが人気だそうです。

◎鉢カバーも開発

ロットにもよりますが、5000円からオリジナルの文字も入れてくれます。お花は見て「キレイ」と感動するだけでなく、意味のある情報も提供できるのです。
さらに、この特殊な印刷機を活用して、名入れした樹脂製の植木鉢カバーも商品化されました。鉢カバーの上部には、社名などを名入れすることもできます。

◎ビジネスの可能性大

お花は人に感動を与えるだけでなく、情報を発信するツールに進化したのです。企業の広告を花びらに印刷すると、広告媒体ビジネスも考えられます。
ひょっとしたら、ただでもらえるフリーのお花屋さんが登場するかも知れません。花びら印刷、ビジネスの可能性は大きいようです。