◎時にはアナログも
これだけデジタルが進むと、何かちょっとアナログが恋しくなったりもします。ビジネスではデジタルが求められ、IT、IoT、AIなどに関わらないと、取り残されてしまったような気になってしまいます。
でも、デジタルがどんどん進めば進むほど、時にはアナログの良さ見えて来たりもします。いぜん、京都のせんべい屋さんの取材で、江戸や明治時代のような販売方法を導入している会社に出会いました。
◎江戸時代の売り方に感動
ショーウインドのようなものはなく、畳の上にお菓子を広げたスタイルで売っておられました。昔の時代に戻ってしまったような感じになります。
「若い方は案外、このような江戸時代の売り方に感動されます。カッコ良い感じがするのでしょうね。一周遅れの最先端ですな」と、笑われます。古いが新しい感覚なのです。
◎食品包装用の刃物
アナログの感じでも、まだまだ活用できそうなものたくさんありそうです。先日は、食品包装用の刃物を製造している会社を取材しました。
昭和5年から包装資材を手がけ、2030年には創業100周年を迎える会社です。個包装のお菓子の両端を切る刃物です。
◎超硬合金カッター
現在、主力製品になっているのが、独自の超硬合金カッターでした。コバルトとタングステンを配合した超硬合金製です。
「粘りがあり、欠けにくく従来のスチール製に比べて3-8倍も長持ちします」と社長さんはおっしゃいます。でも、コロナ禍でお客様回りができなくなりました。
◎DM作戦をスタート
また、展示会もないため、営業がほとんどできないのです。そこで、アナログのDM作戦を始められました。まず、イメージを一新しようと、ネーミングを変更。
パンフレットもやり直され、全国の食品工場向けにDMを送られました。デジタル時代ですから、インターネット配信、SNSでの発信と思いますが、全国の食品工場へのDMでした。
◎5件の受注に成功
どのくらい送られたのか?お聞きして驚きました。なんと、わずか130部程度だったそう。ボクは「エ!」とびっくり。
これはアカンでしょうと思って、成果をお聞きしました。すると社長は、「10件の問い合わせがあり、その中から5件の受注に成功しました」と胸を張られます。
◎刃物が刺さった!
凄い確率での受注です。1つ数10万円する高価な刃物です。「価格は1・5倍程度高いですが、品質の向上、メンテナンスの手間や時間が大幅に削減、食品メーカーのコスト意識に応えた製品です」と。
「デジタル化で最近はDMを打つ企業が減っています。だから、お客様も珍しいのでしっかり見てくれます」と、おっしゃいます。「コロナ禍で工場関係者も時間があります。コストダウンの刃物が刺さったと思います」と。
◎効率の良いアナログ営業
デジタル化の中で、ついついDMをバカにしてしまいます。でも、この枚数でこれだけ受注できれば、まさに効率の良いアナログ営業です。
一周遅れの最先端。アナログがデジタルに勝つケースは、意外に多そうでした。
中小企業を明るくする!ビジネスサクセスジャーナル 日本一明るい経済新聞